農産物のフードロスをゼロに?タベモノガタリの活動と今後の将来性について食品従事者が独自分析してみた。
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どうも。「食彩life」「やさしい食品表示ラボ」を運営している dai です。(プロフィールはこちら//食品業界情報は→こちら)
2018年は様々なフードロス削減サービスがロンチされて、フードロス元年と謳える年ではないかと個人的には分析しております。2019年もフードロスに関して世間の関心が高まり、ますます活況を帯びております。そんな中、農業の現場からフードロスを解決する、「タベモノガタリ」が法人化されました。
今回は、「タベモノガタリ」の活動と今後の将来性について食品従事者のdaiが独自で分析してみたいと思います。ボーダレスグループとして起業され、移動販売・地域密着型の農産物販売事業をスタートされております。圧倒的な行動力ですよね。
「タベモノガタリ」とは
(画像引用:タベモノガタリのこれまでとこれから。 – ワタシ×タベル=タベモノガタリ )
「タベモノガタリ」とは、世界人口を「おいしい!」で満たすという理念を掲げて活動されております。ボーダレスグループとして2019年2月に設立され、規格がない農作物を独自の流通・販売によって、農産物のフードロスをなくすとのことでした。移動販売・地域密着型の農産物販売事業をスタートされております。
代表者 竹下友里恵さんは、TED✖️神戸にて登壇されており、ご自身が手がける業務についてお話しされております。
<参考>フードロスとは?
フードロス(食品ロス)とは、食べるために作られた食料が、失われたり捨てられたりしてしまうことを指します。サプライチェーンの流れの中で、まだ食べられるにも関わらず、様々な理由で失われたり、捨てれられたりしています。フードロスの定義は様々ですが、このHPでは、フードロスを環境省や農林水産省が用いられているように「食べられる食べ物が捨てられること」という意味で使用しております。
2015年に国連の「持続可能な開発サミット」で採択された2016年から2030年までの国際目標の中で、食品ロス関係の記載があり、持続可能な生産消費形態を確保する目標を掲げております。
日本のフードロスは年間643万トン。そのうち家庭から291万トンが発生
実際、日本ではまだ食べられるのに捨てられてしまっている、フードロス量は、643万トンと推計されております。(2016年度)
まだ食べられるものが捨てられてしまう問題、フードロスについて、社会全体が考えていかなければならない課題になります。日本のフードロスのうち291万トンが、消費段階の家庭で発生していると言われており、一人一人が行動の見直しがフードロスを減らしていく上で必要になります。
さらに、フードロスに関して深く知りたい方はこちら。
①フードロス(食品ロス)とは?食料ロスと食料廃棄の違いや原因など、食品従事者が徹底的にまとめてみた。
②今から家庭でできる!いち消費者の6つのフードロス対策【食品関係者記載】
③食品業界が取り組むべき8つのフードロス対策とは【現役食品メーカー勤務者が分析】
規格外農作物のフードロスをゼロを掲げる「タベモノガタリ」の活動
「タベモノガタリ」は、下記の事業になります。
- 農作物のフードロスをなくす。
- 農家から直接農産物を仕入れ・販売を行い、独自の流通を創出。
- 野菜の移動販売を開始とのこと。
規格外農産物のフードロスをなくすために、会社を設立し活動されております。
八百屋のタケシタを開設
規格外農産物のフードロスをなくすために、「規格がない八百屋」として八百屋のタケシタを開設されております。農家から農家から直接農産物を仕入れ・販売を行い、独自の流通を創出するとのことでした。
実際、2019年3月28日に神戸市地下鉄の庁前駅(構内)にて、神戸市農産物を多数販売されておりました。地下鉄で運ぶ野菜の直売会を実施されておりました。なかなか大胆な配送方法ですよね^^
(引用:代表者 竹下友里恵のtwitter)
食品従事者における「タベモノガタリ」の事業内容に関する分析
食品従事者 daiの「タベモノガタリ」の事業内容に関する分析になります。
- 中間業者として農産物という商品を販売する難しさ
- いかに利益を創出していくかという問題
①中間業者として農産物という商品の販売の難しさ
農産物という商品を取り扱うには、繊細で非常に販売するのが難しいように感じます。
なぜ、難しいのかというと、農産物は生鮮食品のカテゴリーになり、賞味期限、消費期限などの期限表示がありません。食品表示法において、名称と原産地のみで販売することが求められてはおりますが、期限表示はなく、消費者は見た目や産地で購入選択されているのが実情です。
その上、生鮮食品は傷みやすく、販売する期間が限られております。その商品を取り扱う際に、最低限下記のような仕組みを農家と構築することが必要では、と感じます。
- 農家との規格外野菜の引き取りの取り決め
- 規格外野菜の保管場所
- 販売できなかった規格外野菜の保管場所 等
協力してくれる農家が、規格外野菜が発生しても、タベモノガタリのタイミングで販売できるまで保管してもらえるような農家があれば理想的ですが、はたしてどうでしょうか??
②利益をどこであげていくかの問題
タベモノガタリは、株式会社という形で設立しているために利益をどこであげていくかの問題があります。
従来の仕組みから考えれば、農家とタベモノガタリとの間ではトレードオフの関係であるように感じております。つまり、タベモノガタリとして利益を追求すれば、規格外野菜を二束三文の価格で仕入れる仕組みが理想的ですが、その場合、農家としては所得向上にはなりません。
高い価格で仕入れれば、適正な利益確保をしにくくなります。非常に難しいですね。
ただ、規格外野菜の成果報酬型のビジネスモデルであれば、問題ないかもしれません。規格外野菜の販売成約になるまで、仕入れコストは発生せずに、販売した時点で販売手数料、利益を除いた農家の取り分が農家に行くシステムであれば、より理想的ですだと考えますが…果たしてどのような仕組みで運営しているのかをお聞きしてみたいですね。
また、タベモノガタリの理念の中で、「生産したものが全て販売できる状態」を目指し、フードロースゼロと農家の所得向上に貢献する、とありますので、あまり農家に対して強引な価格折衝を行っていないのではないかと推測されますね。
どちらにせよ、タベモノガタリが取り扱う野菜のアイテムの拡充、提携農家数の増加が必要になりますよね。
僕ならこのような収益モデルを構築する
僕なら、以下の収益モデルを検討しますね。(勝手な余計なお世話ですが…)
- 加工食品事業の可能性
- ECコマースでの販売
①加工食品事業の可能性
僕なら、オリジナルの加工食品を販売して利益確保を行います。
農産物の販売では痛むなどの問題があり、販売できる期間が限られております。そのため、規格外野菜を使った加工食品を作りますね。もちろん、消費期限が長いに越したことはありませんが、タベモノガタリとの親和性がある農産物を使った加工食品がベストのような気がします。
ただ、加工食品を製造してくれるメーカーが規格外野菜を使って商品を作れるどうかという障壁があります。残念ながら、多くの食品メーカーでは、食品加工の原料に関しても規格化された原料を使用しております。そのため、規格外野菜を食品工場が荷受してもらえるかという課題があります。そこさえクリアできれば、食品加工への利用も可能でしょう。
加工食品としての販売ではなく、加工用果物流通事業として「ミニナルミ」を運営されておりました。(2018年9月の時点)ボーダレスグループからの法人化によって、この事業は存続しているか不明ですが、この事業も継続の価値がありますね。
②Eコマースでの販売検討
現状は、移動販売・地域密着型の農産物販売事業になりますが、将来的にはEC事業における販売は検討されているのでは思われますが、Eコマースによる販売を開始してもみるのもありかもしれません。それによって、移動販売・地域密着型の農産物販売事業のリアルととEコマースのバーチャルの融合ができると思います。
ただ、運賃などの物流費が高騰している中で、自宅まで配送するのか、それとも、フードシェアという形で消費者と取りに来てもらうのかどうかは、検証が必要かと思われます。
実際、食品を購入することでフードロスに貢献するEコマースはロンチされておりますよ。
最後に
今回は、「タベモノガタリ」の活動と今後の将来性について食品従事者のdaiが独自で分析してみました。
農業の現場からフードロスを解決する、「タベモノガタリ」がボーダレスグループから法人化されるとは非常に驚きましたが、フードロスの社会的な問題を解決する社会的な起業はますます盛り上がっていることを再認識しました。
僕自身、北海道のある大学で食品を学んでいたため、農業の現場や実態を見てきましたが、同じ品質であっても規格に合わないと価格が違う実態がありました。少しでも適正な価格で流通すること、食材ロスがなくなることを願っております。その上で、僕はできる範囲で食品ロス削減に向けた行動を継続的に行いたいと考えてます。
タベモノガタリの発展を心から祈っております。
フードロスに向き合う様々なサービスに関して、独自にまとめたページはこちらになります。ご関心があれば是非どうぞ^^
「食彩life」の運営者 dai が食品業界を分析した内容を無料で配布しております。
令和時代に向けて是非とも知っておきたい食品業界情報になりますよ。
食品業界の実態・トレンドを知ることで、食品業界の知識の向上に役立たせることができます。また、食品業界を目指している方にとって、食品メーカーで従事していた生の意見(一次情報)を知ることができます。
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