「ガイアの夜明け/異変の夏…〝激闘″シェア争い!」をみて食品メーカー営業マンが感じたこと
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どうも。「食彩life」「やさしい食品表示ラボ」を運営している dai です。(プロフィールはこちら//食品業界情報は→こちら)
今回は物議を醸している2017年9月5日放送「ガイアの夜明け/異変の夏…〝激闘″シェア争い!」の場面のキリン株式会社の飲み会について食品メーカーの営業としての個人として意見と本音を記載したいと思います。
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内容
2017年9月5日放送「ガイアの夜明け/異変の夏…〝激闘″シェア争い!」をみるにあたってのビール業界の現状を把握しよう。
- 1972年〜1985年 キリン「ラガービール」がビールのシェアを独占(6割)
- しかし、1987年アサヒ「スーパードライ」が後発で発売し、辛口のジャンルを作り、ついに2001年にシェアトップに君臨する。2001年を除き、「スーパードライ」がビール部門トップに君臨している。
- <キリン側のスタンス>
- ビール部門シェアトップを奪還するために、まず圧倒的に「スーパードライ」が強い大阪を強化して営業活動していく様子が報道されている。
- 期待の営業マンA(以下A)が株式会社ライフコーポレーション(本社:大阪、以下ライフ)に店舗に陳列するために本部商談しにいく。キリンの「一番搾り」をリニューアルを売りに切り替えを提案する。
- ライフの関目店ではビールの販売量が大きく、通常時アサヒの「スーパードライ」が圧倒的に販売している。Aが売り場の切り替えを目指す。
- キリンの営業会議では、グループで対前150%を目指すために進捗を会議しており、Aの苦戦があり当初対前200%を見込んでいたが、難しく対前150%になるかもしれないとのこと。(数字の根拠は不明)
- その様子に苛立ちを感じた先輩社員(以下B)が飲み会に誘い、叱責する様子、悔し涙を流すシーンが放映されていた。
- そこで、場面が切り替わり、森永製菓の「チョコモナカジャンボ」の生産調整(気象変化に対応した)を様子が流れる。今回は割愛します。
- 場面は戻り、関目店の商品切替の為に、Aは試食販売を行う。その効果もあって、切替とは言えないものの、売り場を大きくすることができた。以上
私が感じた3つの問題点
私が感じた3つの違和感に関して記載します。
叱責様子、悔し涙を放映
叱責様子、悔し涙を放映するところに違和感を感じました。
→飲み会で叱責するシーンを放映するのは頂けないと思った。
まして、昨今コンプライアンス、パワハラが世の中で叫ばれている中、ここだけを抜き取りと先輩と自己満足の飲み会となって見えてしまう。まして、この場面で切り替わり、森永製菓の「チョコモナカジャンボ」の生産調整に編集されてあったことも余計に際立ちます。
叱責するのは良いが、売上を上げる為に根性論ばかり伝えていた。(「やれ」「やれよ」「できなければ、下の世代がついてこない」etc)
→やはり売上を上げるための「ノウハウ」「知恵」を授ける必要があると思う。
ただ、具体的な「ノウハウ」を地上波で放映できるかというと疑問である。会社として守秘義務もあると思う。例えば、添付条件、条件対応、押し込み等、売上を強引に作る方法はあるが、それをTVにするのは私自身も専門的すぎると思う。
<キリンとして>
これぐらい命かけて販売しているという情熱を伝えたかったのかなと思った。しかし、このご時世、体育会系の営業、飲み会に関して嫌悪感があるのも事実。キリンとしては知らぬ間に企業イメージを下げ、購買意欲を少し低下させてしまったかもしれません。
→ただ、別の視点では、下記のことも考えれます。
キリンに入社してもらう学生に自社の営業環境を示唆する意味があり、根性がない奴、販売できない奴は自然とエントリーしてこないという自制を生み出すことも考えられ、そこまで踏まえていたら感嘆します。
予算の高さ
この時代の対前150%の難易度…たるや…
ビール業界の小売にて対前150%を目指すことの難しさたるや…というのも、酒税法の改正*により特売を大きくうち出せなりました。
そのため、より商品力がものを言う商談になると言えます。例えば、圧倒的な売れ筋商品に対抗して販売する場合、価格を下げて販売(or提案)するのが常識ですが、ビールの場合規制が入り、なかなかできません。対バイヤーとの良好な関係を構築していたとしても、ここの部分は大いに難しいように感じます。
森永製菓の「チョコモナカジャンボ」の生産調整の放映とのギャップ
森永製菓の「チョコモナカジャンボ」の生産調整での気象変化に対応した放映とのギャップを感じました。
森永製菓の場合、「チョコモナカジャンボ」の生産調整での気象変化に基づいた生産調整を考え、雨の多い今年において利益を確保することができたとあります。その論理的な映像と、キリンの営業活動の体育会系な映像にギャップを抱きますよね。
食品メーカーの営業マンとしての本音
色々と淡々と記載いたしましたが、正直な話、業界として体育会系な環境が多いと感じます。
私自身も放映していたような飲み会の現場を体験したこともあるし、居合わせた経験もあります。やはり、言われる場合が華って上の方は言いますが、腹は立ちますよね。
対策としては、しっかり自分の予算を上げるしかないです。(根本的な解決策になってないですが。)
やはり自分の数字をしていれば、何も言われません。できなくて、嫌なら職種を変更するか、辞めるしかないかもしれないです。と言うのも、売らない営業マンが労働環境の改善を申し出てもなかなか聞いてもらえないと思います。
やはり、変えたいと思うなら、数字を上げて少しずつ立場を上げてから、効果的に伝える方が良いかと思います。
酒税法改正について
酒税法改正についてまとめております。
酒税法
まずは酒税法についての解説になります。
酒税法
酒税法にはお酒の定義や分類・税率など基本的な事項が定められています。 また、酒税を円滑かつ確実に徴収するために納税義務者や製造免許・販売業免許の取り扱いについて定めています。 ちなみに酒税法上でいうお酒(酒類)とはアルコール分1%以上の飲み物(飲料)のことを指します。
「酒税法 | おいしいビールができるまで | サッポロビール」引用
酒税法改正
目的:「酒類の保全および酒類の取引の円滑な運行」および「酒類の適正な販売管理の確保」を図るため
策定:平成29年3月31日(国税庁長官告示)
施行:平成29年6月1日より
基準対象:平成29年6月1日以降に酒類業者(製造・卸・小売)が行う酒類の取引
<禁止事項>
①正当な理由なく、酒類を総販売原価を下回る価格で継続して販売すること。
②自己又は他の酒類業者の種類事業に相当程度の影響を及ぼす恐れがある取引をすること。
*正当な理由:季節限定品でその期間が過ぎたものやラベルに汚染があるなどの理由で、通常の価格で販売することが困難であると認めらる場合をいいます。
*継続して販売:相当期間にわたって繰り返して販売すること。
総販売原価とは
総販売原価とは、売上原価の額と販売費及び一般管理費の額の合計額をいいます。
又、リベートの値引きに関して正式な基準がある。
・当該酒類の仕入れに関わる値引きとしてみなされるもの
→リベートに関する基準が明確に定められていること etc
・当該酒類の仕入れに関わる値引きとしてみなされないもの
→年度末などの事後に額が判明するリベート、裁量的に支払われるリベートetc
基準を遵守しなければ
基準を順守していない酒類業者に対して以下の対応がある。
指示→公表→命令→罰則の適用→免許取り消し になってしまいます。
参考 「酒類の公正な取引・販売管理に関するルールの改正について|酒税行政関係情報(お酒に関する情報)|国税庁」
最後に
キリンとアサヒに注力して(キリン偏っていましたですが)、それ以外のビールメーカーが報道せずに一方的に感じました。
どうせなら、大手4社を特集して欲しかったが、枠の都合上なかなか難しいですね。サントリー「プレミアムモルツ」も今年改良してますし…改良シリーズで特集して欲しかったな…
私自身は、アサヒ、サッポロ、サントリーの工場見学に行ったことがあり、キリンに関してまだ行けていませんが、11月に行きたいと思います。(予約済;なかなか予約できなくて)また、工場見学の記事を早く書きたいです。まとめたい記事があるけど、なかなかうまいこと時間が作れません…
テレビで「とよ」(京橋駅)が一番最初に出ており、感動しました。また行きたいな。写真は撮ってないので載せることができませんが、オススメですよ。
おまけ<店情報>
居酒屋 とよ
- 営業時間
[火・水・金]15:30~21:00
[土]14:30~20:00 - 定休日 日曜
- 立ち飲みのみ
- 場所:大阪府大阪市都島区東野田町3-2-26
うまいんでぜひ行って見てください。
「食彩life」の運営者 dai が食品業界を分析した内容を無料で配布しております。
令和時代に向けて是非とも知っておきたい食品業界情報になりますよ。
食品業界の実態・トレンドを知ることで、食品業界の知識の向上に役立たせることができます。また、食品業界を目指している方にとって、食品メーカーで従事していた生の意見(一次情報)を知ることができます。
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